EV/EBITの逆数。会社を丸ごと買ったときの利回り。
投資での見方:高いほど、投じた企業価値に対する本業の利回りが大きいことを表す。国債利回り等と比較する。
益回り(EBIT/EV)は、本業の利益(EBIT。おおむね営業利益にあたる)を、企業価値(EV=時価総額+純有利子負債)で割った利回りだ。株価だけを見るPERと違い、借金も現金も含めた「会社を丸ごと買ったときの値段」に対して本業がどれだけ稼ぐかを測る。EV/EBIT(倍率)の逆数にあたる。
株式の益回り(1株利益÷株価=PERの逆数)と何が違うか。株式益回りは株主の取り分(純利益)を株価で測るが、益回り(EBIT/EV)は借入も含めた事業全体の稼ぎ(EBIT)を、借入も含めた買収価格(EV)で測る。同じ会社でも、借金が重いか純現金が厚いかで、二つの益回りの順序は入れ替わることがある。
ジョエル・グリーンブラットの「マジックフォーミュラ」は、この益回り(EBIT/EV)と資本効率(ROIC)を組み合わせる。益回りは「いくらで買えるか(値段の側)」、ROICは「事業がどれだけ効率よく稼ぐか(質の側)」——値段と質を別々に測って両立を見る枠組みだ。
EBITとEVは、資本構成(借入か自己資本か)や税率の違いをならして会社どうしを比べやすい。PERは会計方針・税・財務レバレッジで振れるが、益回り(EBIT/EV)は事業そのものの利回りに近づく。借金ごと引き受けて買う側の目線に近い指標ともいえる。
いまJINGIがカバーする銘柄の中で、この概念が顕著に現れている一社が 株式会社ビザスク(4490)。益回り(EBIT/EV)は69.4%で、本業利益(EBIT)13.4億円を、借金込みの企業価値(EV)19.3億円で割った水準にあたる。
ほかに益回りが高く出ている例:株式会社はてな(48.3%)、ニフティライフスタイル株式会社(32.7%)。
選抜は益回り(EBIT/EV)が高い順=概念が顕著に現れている例で、銘柄の優劣や割安・投資判断を示すものではない。カバー銘柄や決算・株価の更新に応じて自動で入れ替わる。数値は概念の例示である。
益回りが高いことは、それ自体では割安を意味しない。市場が将来の利益低下(構造不況・一過性の好業績の反動)を織り込んでいるとき、高い益回りは「安いなりの理由」の裏返し(バリュートラップ)でもある。
EBITは一過性の損益で振れ、EVは株価で日々動く。単年の益回りより、数年ならした水準と推移で見る(時間軸で読む)。
純現金が厚い会社はEVが時価総額より小さくなり、益回りが高く出やすい。ただし現金が事業に使われず余っているだけなら、高い益回りが事業の強さを意味するとは限らない。益回りは「値段に対する本業の利回り」を測る物差しであって、投資判断の信号ではない。