益回り(EBIT/EV)

借金も込みで、会社を丸ごと買ったときの本業の利回り

定義

EV/EBITの逆数。会社を丸ごと買ったときの利回り。

投資での見方:高いほど、投じた企業価値に対する本業の利回りが大きいことを表す。国債利回り等と比較する。

この指標はどう活用できる?

益回り(EBIT/EV)は、本業の利益(EBIT。おおむね営業利益にあたる)を、企業価値(EV=時価総額+純有利子負債)で割った利回りだ。株価だけを見るPERと違い、借金も現金も含めた「会社を丸ごと買ったときの値段」に対して本業がどれだけ稼ぐかを測る。EV/EBIT(倍率)の逆数にあたる。

株式の益回り(1株利益÷株価=PERの逆数)と何が違うか。株式益回りは株主の取り分(純利益)を株価で測るが、益回り(EBIT/EV)は借入も含めた事業全体の稼ぎ(EBIT)を、借入も含めた買収価格(EV)で測る。同じ会社でも、借金が重いか純現金が厚いかで、二つの益回りの順序は入れ替わることがある。

ジョエル・グリーンブラットの「マジックフォーミュラ」は、この益回り(EBIT/EV)と資本効率(ROIC)を組み合わせる。益回りは「いくらで買えるか(値段の側)」、ROICは「事業がどれだけ効率よく稼ぐか(質の側)」——値段と質を別々に測って両立を見る枠組みだ。

EBITとEVは、資本構成(借入か自己資本か)や税率の違いをならして会社どうしを比べやすい。PERは会計方針・税・財務レバレッジで振れるが、益回り(EBIT/EV)は事業そのものの利回りに近づく。借金ごと引き受けて買う側の目線に近い指標ともいえる。

図で見る

まず概念の"型"(例示)、次に実データでの現れ方。図の寸法は入力数値に忠実。
概念図(例) 会社を丸ごと買うといくら?(企業価値 EV) 時価総額 1000.0億円 純有利子負債 400.0億円 企業価値(EV) = 時価総額 + 純有利子負債 = 1400.0億円 本業利益(EBIT 210.0億円)を EV で割った利回り 株式の益回り(純利益/時価総額)6.0% 益回り(EBIT/EV)15.0% 借金込みの値段に対する本業の利回り。株式の益回りと順序が入れ替わることがある(高い=割安とは限らない)
実データ(株式会社ビザスク) 会社を丸ごと買うといくら?(企業価値 EV) 企業価値(EV) 19.3億円 純現金 25.5億円 企業価値(EV) = 時価総額 − 純現金 = 19.3億円 本業利益(EBIT 13.4億円)を EV で割った利回り 株式の益回り(純利益/時価総額)19.9% 益回り(EBIT/EV)69.4% 借金込みの値段に対する本業の利回り。株式の益回りと順序が入れ替わることがある(高い=割安とは限らない)

実際の会社のケーススタディ

いまJINGIがカバーする銘柄の中で、この概念が顕著に現れている一社が 株式会社ビザスク(4490)益回り(EBIT/EV)は69.4%で、本業利益(EBIT)13.4億円を、借金込みの企業価値(EV)19.3億円で割った水準にあたる。

ほかに益回りが高く出ている例:株式会社はてな(48.3%)、ニフティライフスタイル株式会社(32.7%)。

選抜は益回り(EBIT/EV)が高い順=概念が顕著に現れている例で、銘柄の優劣や割安・投資判断を示すものではない。カバー銘柄や決算・株価の更新に応じて自動で入れ替わる。数値は概念の例示である。

数字を見るときの注意点

益回りが高いことは、それ自体では割安を意味しない。市場が将来の利益低下(構造不況・一過性の好業績の反動)を織り込んでいるとき、高い益回りは「安いなりの理由」の裏返し(バリュートラップ)でもある。

EBITは一過性の損益で振れ、EVは株価で日々動く。単年の益回りより、数年ならした水準と推移で見る(時間軸で読む)。

現金が厚い会社はEV時価総額より小さくなり、益回りが高く出やすい。ただし現金が事業に使われず余っているだけなら、高い益回りが事業の強さを意味するとは限らない。益回りは「値段に対する本業の利回り」を測る物差しであって、投資判断の信号ではない。

関連情報

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情報提供であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。実在銘柄は概念の現れ方の例示であり、価値判断ではありません。数値は有価証券報告書(EDINET)の一次データに接地。