流動資産から総負債を引いた、極めて保守的な清算価値。
投資での見方:株価がこれ以下なら資産だけで下値を説明できる領域。
NCAV(Net Current Asset Value=ネットネット)は、流動資産(現金・売掛金・在庫など1年内に現金化しやすい資産)から総負債をすべて引いた残りを指す。固定資産(建物・設備・のれん)はゼロと見なす、極めて保守的な清算価値の目安だ。
ベンジャミン・グレアムが用いた古典的な安全域の物差しで、「会社を今日たたんで、換金しやすい資産だけで借金を全部返しても、なお株主に残る価値」を近似する。株価がこのNCAV(1株あたり)を下回ると、事業の価値をほぼゼロと置いても資産で説明がつく領域に入る。
バリュー投資でNCAVが有用なのは、事業の将来性を一切当てにせず"今ある換金しやすい資産"だけで下値を測れるからだ。該当する銘柄は市場全体で稀で、多くは何らかの理由(赤字継続・資産の質など)で安く放置されている点も併せて読む。
流動資産の"額面"と"実際に換金できる額"は違う。売掛金の回収不能や在庫の陳腐化があれば、NCAVは見かけほど堅くない。資産の質を確認する。
NCAVが株価を上回る=割安、と単純化しない。事業が現金を燃やし続けていれば、資産クッションは時間とともに削れる。静的な清算値であって時間の要素を含まない。
NCAVは「資産面の下値の目安」という一つの角度であり、売買の信号ではない。事業の継続性や資産の中身と併せて各人が判断する。