実質PER

現金を除いた「事業そのものの株価倍率」

定義

時価総額から純現金を引いた「事業そのものの値段」を利益で割った倍率。

投資での見方:現金が厚い会社は、見かけのPERより実質的な倍率が低く出ることがある。

この指標はどう活用できる?

株価倍率(PER)は「利益の何年分の値段がついているか」を測る。しかし会社が多額の現金を抱えている場合、その現金の分まで含めて『会社全体の値段』を利益で割ってしまうと、事業そのものの割高・割安が見えにくくなる。

実質PERは、時価総額から純現金(現金−有利子負債)を差し引いた『事業価値』を利益で割った倍率だ。いわば「会社を買った瞬間に金庫の現金が手に入る」前提で、事業だけにいくら払っているかを測る。

バリュー投資が実質PERを重視するのは、"見かけの倍率" と "事業の実力に対する倍率" のギャップにこそ、市場が見落としている構造が現れるからだ。現金が厚い会社ほど、実質PERは見かけのPERより低く出る。

図で見る

まず概念の"型"(例示)、次に実データでの現れ方。図の寸法は入力数値に忠実。
概念図(例) 時価総額 1.0億円 の中身 事業価値 55百万円 純現金 45百万円 純現金は時価総額の 45% 株価倍率(利益の何年分か) 見かけの倍率(PER)15.0 実質の倍率(実質PER)8.3 現金を除くと、事業そのものに払う倍率は見かけより低く出る(低い=割安とは限らない:現金の質・使途で意味が変わる)
実データ(株式会社はてな) 時価総額 28.2億円 の中身 事業価値 7.0億円 純現金 21.2億円 純現金は時価総額の 75% 株価倍率(利益の何年分か) 見かけの倍率(PER)12.1 実質の倍率(実質PER)3.0 現金を除くと、事業そのものに払う倍率は見かけより低く出る(低い=割安とは限らない:現金の質・使途で意味が変わる)

実際の会社のケーススタディ

いまJINGIがカバーする銘柄の中で、この概念が最も顕著に現れている一社が 株式会社はてな(3930)。時価総額28.2億円のうち純現金が21.2億円(75%)を占め、見かけのPER 12.1倍に対し、現金を除いた実質PERは約3.0倍で算出される。

ほかに現金比率が高い例:株式会社マクアケ(現金比率64%・PER 22.9→実質8.2)、BASE株式会社(現金比率63%・PER 20.9→実質7.8)。

選抜は現金比率(純現金÷時価総額)が高い順=この概念が最も見えやすい銘柄で、銘柄の優劣や投資判断を示すものではない。カバー銘柄や決算の更新に応じて自動で入れ替わる。数値は概念の例示である。

数字を見るときの注意点

実質PERが低いことは、それ自体では割安を意味しない。現金の『質と使途』で意味が変わる——余剰現金なのか、運転資金・借入見合いで実際には動かせない現金なのか。

現金が『働いているか眠っているか』も効く。株主に還元されず低利回りで滞留する現金は、額面ほどの価値を持たないことがある。

事業そのものが縮小・毀損している場合、実質PERの低さは"安いなりの理由(罠)"の裏返しでもある。実質PERは「事業の値段を正しく測る物差し」であって、判断の信号ではない。

関連情報

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情報提供であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。実在銘柄は概念の現れ方の例示であり、価値判断ではありません。数値は有価証券報告書(EDINET)の一次データに接地。