時価総額から純現金を引いた「事業そのものの値段」を利益で割った倍率。
投資での見方:現金が厚い会社は、見かけのPERより実質的な倍率が低く出ることがある。どこまでを純現金とみなすかで値が変わるので、JINGI の電卓は2通り(現金を全部余剰とみなす/売上1ヶ月分は事業に要る現金として除く)で出す。
株価倍率(PER)は「利益の何年分の値段がついているか」を測る。しかし会社が多額の現金を抱えている場合、その現金の分まで含めて『会社全体の値段』を利益で割ってしまうと、事業そのものの割高・割安が見えにくくなる。
実質PERは、時価総額から純現金(現金−有利子負債)を差し引いた『事業価値』を利益で割った倍率だ。いわば「会社を買った瞬間に金庫の現金が手に入る」前提で、事業だけにいくら払っているかを測る。
バリュー投資が実質PERを重視するのは、"見かけの倍率" と "事業の実力に対する倍率" のギャップにこそ、市場が見落としている構造が現れるからだ。現金が厚い会社ほど、実質PERは見かけのPERより低く出る。
実質PERが低いことは、それ自体では割安を意味しない。現金の『質と使途』で意味が変わる——余剰現金なのか、運転資金・借入見合いで実際には動かせない現金なのか。
現金が『働いているか眠っているか』も効く。株主に還元されず低利回りで滞留する現金は、額面ほどの価値を持たないことがある。
事業そのものが縮小・毀損している場合、実質PERの低さは"安いなりの理由(罠)"の裏返しでもある。実質PERは「事業の値段を正しく測る物差し」であって、判断の信号ではない。