将来のお金を「今の価値」に引き直す率(要求リターン)。
投資での見方:シミュレーターで上げると将来を厳しく割り引く=理論株価は下がる。安全域を測る物差し。
割引率は、将来のお金を「今の価値」に引き直すための率だ。1年後の100万円は、今の100万円より価値が低い——その目減り分を決めるのが割引率で、投資家が「このリスクなら最低これだけのリターンが欲しい」という要求リターンに当たる。DCF(割引現在価値)などの価値評価の土台になる。
バリュー投資で割引率が重要なのは、価値の見積もりが割引率に極めて敏感だからだ。割引率をわずかに動かすだけで、算出される価値は大きく変わる。だから「精緻に計算した価値」も、置いた割引率次第で当てにならないことがある——ここに、数字を過信しない理由がある。
割引率の置き方には流儀がある。CAPMは株価の値動き(β)から割引率を出すが、ウォーレン・バフェットはβをリスクの指標として明確に否定し、事業の不確実性そのものからリスクを考える。低βの株ほど割引率が低く価値が高く出る、といったCAPMの帰結は、事業の実態と噛み合わないことがある。
価値は割引率に極めて敏感で、少しの差で大きく変わる。「正確な価値」という幻想を持たない。割引率は主観的な前提だと理解して使う。
βから機械的に割引率を出す方法(CAPM)は、低βの株に不自然に低い割引率を当て、価値を過大に見せることがある。事業の不確実性から考える見方もある。
割引率は価値を考える“前提の一つ”であって、それ自体が投資判断ではない。前提の妥当性と、複数のシナリオで幅を持って読む。